ひとこと

響の会通信 vol.08 2000.6

ご縁あって、数年前より信州へ通うようになりました。信州には、美しい自然とそこで生まれた懐かしい日本の歌の数々があります。例えば、安曇野には待ち遠しい春を歌った「早春賦」、千曲川の河川敷一帯に咲く菜の花を歌った「おぼろ月夜」、諏訪湖畔や八島湿原に咲くあざみを歌った「あざみの歌」と、枚挙にいとまがありません。
それは、何よりも美しい自然がそこにあり、それに触発されるように文人、歌人が輩出されるという、自然のなりゆきだったのかもしれません。中山晋平、草川信、高野辰之ををはじめ教育の分野でも、日本の唱歌教育の創始者であり、東京音楽学校の初代校長を勤めた伊沢修二もまた、信州の出身であったことに、あらためて驚かされます。
今年の春、飯山の菜の花を見に行きました。豊田村にある高野辰之記念館の館長さんが「あれがうさぎ追いしかの山、これが小ぶな釣りしかの川です」と説明してくださいました。「ふるさと」を身近に感じられるゆったりとしたひとときでした。
新幹線で80分、皆さんも長野へお出かけになってみてはいかがでしょうか。