コンサート聴きある記          Newsに戻る

 下界ではまだまだ残暑の厳しかった、去る8月2324の両日、涼風の吹き抜ける清里高原清泉寮において、我国のバッハ演奏の最高権威である小林道夫さんの音楽監督による「第22回清里音楽祭」が開かれ、わが池田京子さんが出演されました。
 チラシには「小林さんをして、現在最高のバッハカンタータ歌唱、と云わしめたソプラノ」「この分野では現在最高と小林さんの折り紙付きのリリックソプラノ」といった紹介が載り、聴く人の期待は大変大きいものがありました。
 両日とも池田さんの出番は午後8時30分から。窓の外には星がまばたき、遠くには街の明かりが煌めくころ、夕食もすみ、くつろいだ気分で音楽を聴くには最もふさわしい雰囲気の中、演奏が始まりました。
 初日はチェンバロ・小林道夫、ヴァイオリン・影山誠治、チェロ・山崎伸子の皆さんとともにヘンデル・カンタータ「美しい羊飼い」、テレマン・サンチオよりアリア「甘い言葉」、バッハ・カンタータ第36番より「力なき弱き声といえども」他。二日目は、小林道夫さんのピアノによる、シューベルト「春の想い」「ミューズの子」、「ズライカ」、「鱒」、シューマン「くるみの木」、「献呈」、モーツァルト・オペラ「羊飼いの王」のアリアなどのプログラムで演奏されました。
 初日の演奏は、とぎすまされたテクニック、透き通った清らかな声で歌いあげ、澄みきった高原の空気の中へ引き込まれるほどの清涼感を覚えました。二日目はがらりと雰囲気を変え、その叙情あふれる歌声に、聴く人はすっかり心を奪われ、演奏する人と聴く人が一体となって素晴らしい音楽ができ上がりました。
 演奏が終了するや、頭の上に手をかざし、また立ち上がってと、力一杯の拍手が鳴りやまず、とても素敵な演奏会でした。
 このコンサートには初回からずーっと連続して参加されているメンバーも多く、こよなく音楽を愛し、耳の肥えた方が多い中、ロビーでは「このコンサートに来て良かったね」「今日はとても幸せ」「素晴らしい歌ね」といった、コンサートに満足された会話があちこちから聞こえ、何か自分がほめられているようないい気分になりながら、霧の出てきた清里をあとに、都会の雑踏へと帰っていきました。J