海外研修便り Bloomingtonにて 池田京子 (響の会通信 号外 2005.11 

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  響の会の皆様、こんにちは!アメリカに到着して、6週目を迎えています。
 愛知万博でのオペラ公演を終え(“カルメン情話”にお出かけ下さった会員の皆様、ありがとうございました!)、飛行機に飛び乗るようにしてアメリカに来たのですが、入国審査でつまずくは、預けた旅行カバンの一つは取っ手がぶっ飛んで出てくるし、もう一つは4つあるべきコマ(車輪)の一つがへし折れているはで、20キロのリュックサックを背負った上に、30キロと27キロの壊れたカバンをどうやって転がすの・・・と、途方に暮れた船出でした。その後はそれに比べればすこぶる順調で、元気にしています。
 今、私は、北米中西部のインディアナ州、ブルーミントンにあるインディアナ大学というところで、客員研修員として、主に大学院の修士課程と、博士課程の授業をリサーチしています。
 歌のレッスンではオーストリアの宮廷歌手でもあるパトリシア・ワイズ(彼女とはドイツ語でコミュニケーションでき、またとても親しくしてくださるのでるので、本当にホッとします。)や、メトロポリタン歌劇場で20年も歌ってきたジョルジョ・トッツィ(日本にも何回か来日している歌手)、全米の歌劇場に弟子を送り出しているコンスタンツァ・クッカロなど、教授陣が非常に充実しています。
 10月初めにはキャロル・ヴァネスの公開マスタークラスが、一週間にわたって行われました。キャロル・ヴァネスは、少し前までメトロポリタン歌劇場のトップスターの一人だった歌手で、昨年、パヴァロッティの「さよならコンサート」では相手役のトスカを演じ、大好評を得た人気歌手です。レッスンは当然英語でなされていますが、たとえアラビア語でなされても同じくらい理解できるほどわかりやすい!音楽で良かったとつくづく思います。
 
 「声楽教育」の授業では、学生が学生に指導をして、それについて教授が助言を与えるという指導法的なものもあれば、声の出る仕組みのわかるDVDを見せ、学生たちから様々な意見を聞き、質問に答えるディスカッション形式の授業もあります。Dr.コースでは論文のレヴューがさかんに行われ、どの学生もしっかりと意見が言えて、先生は間違った考えや質問にも丁寧に答えている、という印象です。
  授業は週3回あるのですが、ドイツ語を話してくれる学生もいるので、毎回出るようにしています。授業中の先生方の英語は、とんでもなく早口に感じます。一文ずつ訳せと言われたら、8割解らないと思うのですが、「鼻腔共鳴」や「喉頭蓋」「パッサージョ」などの専門用語を頼りに、また、映像やテキストや具体的に出してくれる声を頼りに、な?んとなく8割解ったような気分になります。

  また、こうして連日、イタリア語やフランス語のオペラのアリアや、ドイツ・リートを聞いていると、今、自分がどこにいるのか忘れてしまいそうです。ヨーロッパにいるのか、はたまた日本にいるのかな、という錯覚に陥ります。食事もご飯にみそ汁、納豆に冷や奴など、何でも手にはいるので、ヨーロッパよりも、暮らしやすいように思います。

 時にはいやな思いをすることもありますが、それは日本にいても同じこと。思いの外、アメリカ人は親切で優しいです。ゆっくり時間ができたらと、日本で色々とやり残していたことを持ってきているのですが、幸いダンボール箱に入ったままです。夕飯には一度アパートに帰りますが、夜また、人気教授のマスタークラスやコンサートに出かけるという、音楽三昧の日々です。
 11月2日には、学内のコンサートホールでゲスト・リサイタルをさせて頂くことになりました。浜離宮朝日ホールをちょっと小さくしたような、素敵なホールです。この号外をお読み頂く頃には無事終わっている・・・ことを祈りつつ。

 到着した頃は、半袖で汗が出ていたのですが、このところ一気に冷え込み、木々が色づいています。最高気温が摂氏16度。朝・晩の気温は4?5度。吐く息は白く、皮のコートが必要です。ゲスト・アパートメントの部屋(11階)からの眺めはすばらしく、左右に180度、森の地平線が見渡せます。
 12月まで精一杯見聞を広げ、研修成果を挙げたいと思っております。皆様も食欲の秋、スポーツの秋を、どうぞお元気にお過ごしくださいませ!


ハロウィーンのカボチャが並ぶ学内の風景


学内を飛び回って、愛くるしいしぐさで楽しませてくれるリス


オペラスタジオにてキャロル・ヴァネスと共に

リサイタルホールのある音楽学部の建物

アパートメントからの眺め