ひとこと ソプラノ 池田京子 (響の会通信 vol.2 1997.4         ひとことへ戻る

 長かった冬もようやく終わり、あたたかい陽差しを感じるようになりました。冬のインフルエンザにも注意が必要ですが、この“春”という季節も、歌い手にとっては鬼門のような存在です。
 3月13日東京文化会館では、「佐藤政光・気ままにコンサート」にゲスト出演させていただきました。響の会からも40人を越える方々にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
 リハーサルの時、政光氏は鼻の上に絆創膏を貼っています。マラソン選手やノルディックスキーヤーのつけている、鼻の通りがよくなるあれです。この季節、花粉症の彼は本番のステージでも絆創膏をつけたまま!男性はそれでもいいけれど女性はいったいどうすればいいのでしょうか。
 
花粉症には縁のなかった私ですが、今年はそろそろきたかな・・・という感じです。“気のせいさ”と楽観的に暗示をかけては診るものの、鼻の裏側にとうがらしを塗られたようなヒリヒリ感と、くしゃみに耐えながら、来年春のリサイタルを不安に思うこの頃です。

 さて、政光氏とのステージは毎回ハプニングの連続で、楽しいスリルに満ちあふれています。もともとファジーなお約束ごとも、本番になれば無かったも同然。二重唱のどこで誰が歌うか、どこでかけ合うか、3度でハモるか、オクターブでつっぱるか。相手にかけるせりふも、入るはずの所に誰も居なければ独白になってしまいます。全身にほど良い緊張感を巡らせながら、そう、急に飛んでくるボールをひょいひょいと、よけたり受けたりしながら投げ返す・・・。そんなスポーツのような快感です。今回もステージの上ではいろいろな事件がありましたが、何より歌っている私自身がワクワクしてしまうほど楽しいコンサートでした。
 このコンサートのお陰でまた静岡(6月)と鹿児島(12月)でのコンサートが生まれました。ひとつのお仕事が次に拡がっていくこと、本当に嬉しくて益々がんばらなくちゃという思いです。
 後援会が発足して、はや1年。こうして2度目の会報も発行していただける運びとなり、会の運営も軌道に乗ってきた感じがいたします。
 これからもどうぞあたたかいご声援をよろしくお願い申し上げます。