ひとこと ソプラノ 池田京子 (響の会通信 vol.13 2002.11)         ひとことへ戻る

 厳しい暑さの続いた今年の夏でしたが、秋が到来すると一気に冷え込んできました。そのおかげで、遠くの山々が白く雪化粧した前面に、真っ赤に色づいた里山の風景を見ることができ、年ごとに様々な姿を見せる日本の秋を満喫された方も多いことでしょう。
 こうした温度変化の激しい季節の変わり目は、風邪をひきやすいときでもあります。きょうわたしの風邪対策について、その一部を紹介することにいたします。まず、風邪の元凶ウィルスは、湿気に弱く、乾燥に強いといわれています。ただでさえ空気の乾燥しているこの季節ですが、とりわけホテルやホールの楽屋は、カラカラです。地方公演に行き、ホテルに入ってまずすることは、乾燥度チェックです。
 歌い手は、のどや鼻の粘膜と皮膚感覚で、だいたいの湿度がわかるものです。60パーセントを割っているなと感じたら、持参した霧吹きで、シュッ、シュッと空中水散布です。近頃はこの水にトルマリン水を使うのがトレンディーですが、これでマイナスイオンも発生して、気分は爽快!以前はお風呂の浴槽に向けて、シャワーからお湯を全開にして、その湯気を部屋中にモワモワとさせるのが効果的でした。これで、かばんに詰め込んできたドレスのシワものびて一石二鳥なのですが、最近のホテルは、煙探知機の性能が良くて・・・・・危険です。

 次に大切なのは、風邪をひきかけたとき。実はこの少し前の「来たかな?」という瞬間をつかむのがコツなのですが、そのときは、体の中でリンパがウィルスと戦いやすい環境を作ってあげることが大切です。水分を多めに取ることはもちろんですが、足湯、それも両足をあたためた後、左足だけ更に熱いお湯であたためて、心臓からの血の巡りをよくします。そして酸っぱくて辛くて暖かい食べ物(ちなみに私は酸辣ラーメンが大好きです)を食べてぐっすり眠ること。
 それでものどがヒリヒリと熱をもった時や、体が熱っぽくなってきた時などは、たっぷりと大根をすりおろした「大根がゆ」で、逆に体を冷やします。正反対に思える様々な方法を、いずれにしてもピタッとはまる「時」をはずさずに行うこと。それにはふだんから自分の体と「対話」をしていることが大切だといえるかもしれません。
 でも本当にひいてしまったら、素直に敗北を認めて、すばやくお医者様にかかることをお勧めします。

長崎のコンサート楽屋で平島さんと