ひとこと ソプラノ 池田京子 (響の会通信 vol.10 2001.5)         ひとことへ戻る

 イタリアの作曲家G.ヴェルディ没後100年にあたる今年2001年は、ヴェルディ・イヤーとして、世界各地でヴェルディの作品が演奏されています。去る4月21日ベルリン歌劇場でも、オペラ「アイーダ」が上演されていました。指揮者はG.シノーポリ。観客がその公演に酔いしれていたその時、心臓発作を起こしたシノーポリは、突然指揮台から崩れ落ちたのです。ステージはいつ何時、何が起きるかわからないといっても、こんなドラマティックなアクシデントを、いったい誰が予測したでしょうか。
 さて、今、この原稿を書いているところへ、テレビがとんでもないニュースを伝えてきました。作曲家の團伊玖磨先生が、訪問先の中国で亡くなられたようです。オペラ研修所時代、所長をしておられた團先生は、研修生だった私たちを、よく秋谷のお宅へお誘い下さいました。リビングの広い窓から一面に見渡せる相模湾の海と共に、先生のあふれんばかりのスケールの大きさに、しびれるような感動を覚えたものです。また、奥様の手作りの中国料理は絶品で、先生の北京語や広東語をお聞きしながら、相模湾に漁り火がともる頃まで、時を忘れて過ごさせていただいたことを思い出します。今は何ともいえない寂しさでいっぱいです。
 今年は秋に、名古屋でリサイタルを予定してますが、團先生の作品を中心に、追悼公演にしたいと思います。先生のご冥福を、心よりお祈り申し上げます。