-出会い-    大原千晴・大原典子(英国骨董おおはら)           Essayへ戻る      

  私は主として英国の古い銀器を専門とする骨董商です。一年のうち三ヶ月間は英国で銀器を探し回り、残りの期間は、南青山の小さな店に沈潜しています。私にとってこの仕事は天職であると思っています。
 骨董の世界では、良い品と出会った時に購入すべきかどうかの決断を迫られます。迷いがあって決断できず、数日後に電話してみると「既に売れました」と言われるのが通例です。瞬時の決断ができるかどうか、そこが分水嶺となります。
 「これっ!」という品に出会うかどうかは、時の運もありますが、大切なのは、むしろモノを追い求める思いの深さです。だからこそ、真剣な骨董商には良い品物が集まるのです。その意味では、骨董屋の棚は主人そのものを現わしています。骨董探しは、その点において、実は骨董屋の主人という人間探しなのです。
 池田京子さんとの出会いは、天が与えてくれた僥倖です。お酒を御一緒していると、池田さんの何気ない言葉の中に「あっ、ここに一人の本物の人間がいる」と感じさせられることがあります。偶然の出会いがその後のお付き合いにつながっている一番の理由です。モノと出会う幸せよりも、人間と出会う幸せのほうがずっと大切だと教えてくれた出会いの一つです。


「英国骨董おおはら」
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