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2001年11月

コンサート聴きある記

 さる9月26日、名古屋のしらかわホールでひさしぶりに「池田京子ソプラノ・リサイタル」が開催されました。ほぼ一ヶ月前に京子さんも出演された第11回日本テレマン協会名古屋公演があったばかりで、お客様の入りが心配されましたが、そこは京子さんのこと、多くのファンがお越しになり、700席の会場も8割を超える聴衆の熱気で溢れることとなりました。普通は中年の女性客ばかりが目に付くこの手のリサイタルですが、年配の女性は勿論、若い女性、男性などの姿も多く、京子さんのファン層の広さにあらためて驚きました。

ロミオとジュリエットを歌う京子さん

「様々な舞台?サロン・歌劇場・文芸酒場にて」というタイトルのもと、第一部はロッシーニとベッリーニの明るいイタリアの歌曲とオペラのアリア。今年が“日本におけるイタリア年”ということで、またベッリーニの生誕200年を記念して組まれたプログラムですが、何といっても「ロミオとジュリエット」のジュリエットのアリアが、圧巻でした。

 第二部はちょっとシックなドレスに着替えて、マーラーとシェーンベルク。中でも没後50年にあたるシェーンベルクの「キャバレーソング」は初めて聴いた作品でしたが、大人の粋な楽しみを堪能できました。プログラムノートで、ちょっと滑稽ともいえる風刺のきいた内容を知り、現代音楽の巨匠といったイメージだったシェーンベルクに親しみがわきました。平島誠也さんとの呼吸もピッタリで、さすがに二人の作る音楽はすばらしく、知らず知らずのうちに引き込まれていってしまいました。
 アンコールは日本歌曲を含めて4曲。サービス精神旺盛な京子さんの本領発揮です。うち1曲はステージに腰をかけ、お客さんの目線で歌うなど、パフォーマンスも決まって大成功でした。

 今回のプログラムは、ふだんクラシックを聴いている方から、あまりお聴きにならない方まで、誰もが楽しめる内容だったと思います。これだけ楽しんで4千円とは、随分お値打ちだと感じました。その分京子さんのお疲れは大変だったと思いますが、きっとご本人も満足感に溢れたリサイタルだったことでしょう。

 来年は、CD録音、テレマン東京定期演奏会にご出演が決まっているときいております。いよいよ円熟みを増した京子さんのご活躍が、楽しみです。 (J)